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ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

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1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

第三話 「紫の指先」 第一節の1

     一

 私はバカな女です。
 何処がバカかって、まず算数ができない。
 小学校五年までは順調だったんだ。「本当に、賢いわねえ。お姉さんそっくりね」とか言われて。
 それが鶴亀算で全然ダメになっちゃった。
 分かります?鶴亀算って。
 鶴の足は二本で、亀の足は四本ですね、塀の下に足が二〇本見えていて、塀の上に頭が六つ見えてますが、鶴は何羽、亀は何匹いるでしょう、ってやつよ。
 そんなモン、足の形とか、頭の形で分かるでしょう?
 第一、亀なら、塀の下から足が見えていれば身体全体見えてるから、それを数えた方が速いです。って、手、挙げて先生に意見した私はそこからして馬鹿でしょう?
 思えば、小学校の頃から、先生と名の付く人の話を、マトモに聞いたこと無かったな。私は、人の話は斜め後ろからしか聞かないんだ、何でも。
 担任の先生は、いやそうじゃなくて例えば鶴が六羽いるとしたら足は一二本だから、二〇から一二引くと足が八本余っちゃうわねえ。で、亀と鶴の足の本数の差は二本だから逆に余った八本うんたらかんたら・・・・。
 テルに言わせれば、あれは中学から数学で方程式を習うにあたって、数学的思考法を養うことを目的に勉強させるんだって言うんだけど・・・・。何のために必要なのか、未だに分からない。
 三つ上の姉貴は、私と比べて本当に賢かった。私みたいに鶴亀算には引っかかりもしなかった。ムカデ・ゲジゲジ算だって問題なかったと思う。
 何でもすぐに出来ちゃうし、分かっちゃう。
 それに、親に口答えすることもなかった。姉貴はお父さんのお気に入り。特にお父さんには従順だったから。
 それに比べて、私は馬鹿でしょう?加えてお父さんに口答えしちゃうんだこれが。お父さん、大学の先生だったからかなあ、私の言うことなんか聞かないの。
 だから、私は厄介者。
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by jazzamurai_sakyo | 2009-10-07 00:27 | 第三話 「紫の指先」