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ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

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1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

第三話 「紫の指先」 第一節の2

 そう言えば、お父さんと上手く行かなくなったのも、鶴亀算の頃だったなあ。
 丁度その頃、生理が始まったのよねん。この始まった年齢が、姉貴が始まった歳よりも一歳も早かったの。その夜、夕食にお赤飯が出て・・・・。何で、あんなもん出すんだろ?
 お父さんは、一瞥しただけで、ずっとビール飲んでたなあ。
 別に、優しい言葉をかけて欲しかった訳じゃなかったけど、姉貴の「その日」には、笑っていたのになあ。そう言えば、姉貴は恥ずかしがる訳でも無く、何時もと同じ無表情だったなあ。
 中学に入ってからは、激しく成績が下がったの。だって、算数が分からない私に数学が分かる訳ないでしょ。大好きだった音楽も、中学の授業では大嫌いになった。担当の先生が、ゴリラみたいなババアで、一糸乱れぬ合奏の練習ばかりさせるの。
 粘液質で、本当に嫌いだった。
 ピアノが出来るとは、だから絶対言わなかった。
 ピアノは姉貴と一緒に習っていた。でも、中学に入る前に止めちゃった。比べられるのが嫌だったから。
 平均より良かったのは英語と美術だけかなあ。
 こうなると、もう、お父さんは小言しか言わなくなるわけ。中二の夏、まあ、似た様な将来の展望の無い女友達とつるんで馬鹿ばっかりやって、色んな所で色んな人とぶつかって。
 それで、あんまり面白くないから、友達の紹介でつまんない男子と付き合って。
 髪を染めた時には、お父さんにはもう完全に無視されたの。
 ただ、私のいない所で、お母さんに何か言っていたことは知っていた。そして姉貴は、・・・・無表情のままだったなあ。
 私はただゲラゲラ笑って毒づいて・・・・。でもその頃、何もかも上手く行かない感じがして、全部が全然面白くなかった。周りはね、「お姉さんはとても優秀なのに、何故、この妹は・・・・」という目で見てるし、怖々「頑張ろうね」って、そればかり言うのよねん。
 私は頑張るのはゴメンだった。
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by jazzamurai_sakyo | 2009-10-14 00:33 | 第三話 「紫の指先」