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ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

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1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

第三話 「紫の指先」 第一節の4

 私はその人に、よくライブとか芝居に一緒に連れてってもらった。新譜を買うと、必ず呼んで、私に感想を言わせるの。つまんないこというと、すぐアホ扱いされるから怖かったけど、ちょっとしたスリルがあって、楽しかった。
 特にCocteau Twinsの“Treasure”を聴かされた時は、なんか、付き物が落ちたみたいにスッとした。ゴリラの音楽教師の背後霊が落ちたのかな。つまんない現実から、すっごく遠く離れた幻想の世界に連れて行かれて、最初の闇から解放された。
 「これ、ドラムは打ち込みなのよ。チープな機材みたいね。
 ねえ、古典的技術とか、音楽的権威は私達には関係ないのよ。アイデアと、それを実現できる方法を探す気さえあれば、自分だけの世界を作ることが出来る」と彼女は言った。
 私は、ホントに彼女の部屋に行ってたなあ。もちろん、勉強してる時と、彼氏が来てる時のお邪魔は避けました。レコードは貸してはくれなかったけど、部屋に行って回すのはオーケーだったから、彼女が持っているレコードのありったけを、テープに録音して聴いたな。
 The Pop Group、PIL、Joy Division、Bauhaus、Echo and The Bunnymen、Durutti Column、The Cult、Felt、The Jesus and Mary Chain・・・・。もちろん、Sex Pistols、The Clash、The Jam。
 今から考えたら、全部イギリスのバンドだった。
 そして、彼女が「飽きた」と言って、部屋の片隅で埃を被るままにしていた、ベースを只でもらったんです・・・・。
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by jazzamurai_sakyo | 2009-10-28 01:30 | 第三話 「紫の指先」