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ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

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1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

第三話 「紫の指先」 第二節の2

 冬美は、この前の打ち上げの時に見せた「乱れ」はもう見せず、毒舌に拍車がかかっていた。
 俺は俺で、最初のライブの時の、ジャズ・スタイルでの薫子との格闘を、もっと深めたい思いがあった。それで、また練習テープを繋げて編集した、ヴァイオリンをメインにしたインストの曲(これは、冬美が一部作曲を加えたりして形に成りつつあったが、構成にストーリーの必然性を欠いた部分が残っていた)の他、かなりジャズ寄りで、ちょっと長尺のジャズ・ロック曲を作ったのだが、これが気に入られ過ぎて困っていた。
 「いやー、この曲は遊べるなあ」と輝広は言ったが、薫子の「やっぱり、マニアね」の言葉には、少々複雑な思いがした。
 結局、あまり遊びすぎると飽きてくるということと、あゆみが、フォービートを弾くのに苦労していたこともあって、頭打ち状態だった。
 あと、問題が何点かあった。俺は以前から、あゆみとのビート感覚や、グルーヴに大きなズレを感じていた。練習を重ねれば合ってくるだろうと安易に考えていたが、どうやら、根本的な所で合わない部分があるようだ。曲の発展まで手が回らないのは、このことに少しいらだちを感じていたからかもしれない。
 金の面で言うと、俺はまた、レコードやCDを買うようになった。練習の合間の会話の中で、俺が聴いたことの無い名前が出る都度、俺は、奴等には密かに探してそれを買っていた。
 この出費は結構、馬鹿にならなかった。四人が四人とも、全く異なるジャンルを聴いていたからだ。
 加えて、京大オルタナ部のスタジオは、京大生の新入部員が増えて、予約出来にくくなった。半分は普通のスタジオになって、負担が増えたのはきつかった。
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by jazzamurai_sakyo | 2009-11-11 00:07 | 第三話 「紫の指先」