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ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

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1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

第三話 「紫の指先」 第十二節の1

     十二

 俺は軽くフィルしてシンバルをそっと揺らす。
 最後はまた、アルコのベースをバックに、薫子がテーマを変奏する。ゃっぱり、このアレンジなら、フルートのソロを先にした方が良かったか。
 だが、井能さんがしっかりとテーマを奏でてくれたおかげで、上手くまとまった。カデンツァは、無しだ。
 ふん。今度は結構な量の拍手があった。冬美は拍手しない。
 俺は薫子がアルトに持ち替えるのに、ドラムの側に来た時に言った。「冬美が睨んでるぞ」
 「嫉妬よ。ああいう時は気にしない方が良いわ。・・・・触ったら切られるだけ」と薫子は言った。
 嫉妬って、お前らやっぱり、付き合ってんの?
 などと考えている間もなく、井能さんが速いテンポでウォーキングした。やっぱり、フォービートに関しては、この野太さは、あゆみにはまだ出せないな。
 Harbieの“The Sorcerer”。この曲は翁のリクエストだ。きっと挽回するつもりなのだろう。
 薫子は例の不敵なテーマを、この前よりも切れ重視で吹いた。俺はより乱暴に入っていく。そして、テーマの終わりに入る部分で、派手におかずを入れてやる。
 それを無視して、翁はトンと美しく冷静にコードを入れた。
 そして、もう一度、右手のシングルトーンとアルトのユニゾンでテーマを繰り返す。ベリー・クール。俺も嫉妬かな。変則的なおかずを入れてやったが、二人は崩れない。そしてまた、左手がコードを美しく落とす。
 ベースが躍り出た。ソロは井能さんからだ。
 うーん、凄いな。上下の跳躍と、楽器の鳴らせ方が圧倒的だ。
 なんという開放感、なんという歌いっぷり。おっと、うっかりするとリズムを失いかける・・・・。俺も応じるか。いや、今日はもう少し大人しくしよう。せっかく、尊敬できるベーシストと共演しているのだから・・・・。
 待った!
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by jazzamurai_sakyo | 2010-09-01 23:37 | 第三話 「紫の指先」