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ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

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1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

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2010年8月11日、18日、25日は、夏休みのため中止です。
2010年9月から月2回の放映で行きます。
予定は第一、第三水曜日です。

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by jazzamurai_sakyo | 2010-08-11 23:44 | 第三話 「紫の指先」
 今まで薫子に恋愛が無かった訳じゃ無いだろう。しかし、この切なさは色恋沙汰の結果とはちょっと違う気がする。時折、大きな後悔の表情が垣間見えるようだ。
 初めてあった時、薫子はこの曲を小さなガラスの破片の煌きにしていた。春の日差しが音をキラキラと舞わせていた。俺はきっとまた、そんな風に吹くのだと思っていた。
 だが、今日の演奏は少し重い。絡まった鎖を解して行くような作業だ。
 少し辛くなってきた俺は、トップ・シンバルをブラシで軽く刻んでみる。
 すると翁は、孤独な人に寄り添うように上昇するフレーズを歌う。そして、優しくコードを入れる。ポロン、ポロンと。それが薫子の即興を包み込み、次第に解け合っていく。
 薫子のフレーズは少しずつ吹っ切れていく。シャワーを浴びて、服を着替え、暗いドアを開けて、春の風に吹かれようとするみたいに。
 ふふ、翁め、少し妬けるなあ。仕方ない。俺はジャズの、こういうところも好きだよ。
 さて、そろそろエンディングだぜ。
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by jazzamurai_sakyo | 2010-08-04 01:24 | 第三話 「紫の指先」