第二話 「青い光」 第12節の1
十二
その夜は、色々な意味で印象的な夜だった。
俺達は、予定より二分、持ち時間を超過したが、“Bloody Feather”のメンバーは、別に構わない風だった。
「ごめんな」と俺が謝った時、ドラムのメガネの男の子は、「いえ。ホンマに、凄く良かったです」と言ってくれた。
YAEに至っては、セッティング中、涙目でマイクに向かい、
「ああ、凄かったな。あんな音、今まで聴いたこと無い。
私らには、あんな音は出せへんわ。悔しいし、悲しいけど、今日は楽しい夜だ」と言い、薫子を指さし、「おい、薫子。お前がなんと言おうが決めた。お前は今日から私のダチだ。近々、対バンしてもらうから、学校で打ち合わせしような」と言った。
薫子は、キョトンとした顔をし・・・・、俺と輝広は笑った。
“Bloody Feather”は、予想通りミクスチャー系の音だったが、リズムと技術の確かさ、斬新だが奇を衒わないアイデア、どこを切ってもソリッドな格好いいバンドだった。
YAEはラウドで歯切れの良いボーカルだった。歌詞の内容には、軽々な恋愛感は一切無く、・・・・パンクだ。歌っている彼女を見て分かったのは、彼女がとても素直で、正直な人間だということだった。彼女なりに、全ての問題を真っ正面に置いて対決した結果がバンドなんだろうな。中年に差し掛かっている俺には、その真摯さが眩しく思えた。
見終わった薫子の口の端に笑みがあった。
紫野山さんのバンドは、以前、スタジオで見かけた時と違う編成で、昔のバンドの復活だったが、変わらない強烈なテンションの高さだった。
いや、ヘビネスが増した分、以前より印象は深かった。
打ち上げは、近くのチェーンの居酒屋だった。参加人数が多く、良い場所が見つからなかったんだろう。
俺とあゆみと輝広は、“underground garden”で缶ビールを数本開けており、既に微酔い気分だった。絶対に文句を言うと思った冬美は、あゆみに付き添われて大人しく付いてきた。
その夜は、色々な意味で印象的な夜だった。
俺達は、予定より二分、持ち時間を超過したが、“Bloody Feather”のメンバーは、別に構わない風だった。
「ごめんな」と俺が謝った時、ドラムのメガネの男の子は、「いえ。ホンマに、凄く良かったです」と言ってくれた。
YAEに至っては、セッティング中、涙目でマイクに向かい、
「ああ、凄かったな。あんな音、今まで聴いたこと無い。
私らには、あんな音は出せへんわ。悔しいし、悲しいけど、今日は楽しい夜だ」と言い、薫子を指さし、「おい、薫子。お前がなんと言おうが決めた。お前は今日から私のダチだ。近々、対バンしてもらうから、学校で打ち合わせしような」と言った。
薫子は、キョトンとした顔をし・・・・、俺と輝広は笑った。
“Bloody Feather”は、予想通りミクスチャー系の音だったが、リズムと技術の確かさ、斬新だが奇を衒わないアイデア、どこを切ってもソリッドな格好いいバンドだった。
YAEはラウドで歯切れの良いボーカルだった。歌詞の内容には、軽々な恋愛感は一切無く、・・・・パンクだ。歌っている彼女を見て分かったのは、彼女がとても素直で、正直な人間だということだった。彼女なりに、全ての問題を真っ正面に置いて対決した結果がバンドなんだろうな。中年に差し掛かっている俺には、その真摯さが眩しく思えた。
見終わった薫子の口の端に笑みがあった。
紫野山さんのバンドは、以前、スタジオで見かけた時と違う編成で、昔のバンドの復活だったが、変わらない強烈なテンションの高さだった。
いや、ヘビネスが増した分、以前より印象は深かった。
打ち上げは、近くのチェーンの居酒屋だった。参加人数が多く、良い場所が見つからなかったんだろう。
俺とあゆみと輝広は、“underground garden”で缶ビールを数本開けており、既に微酔い気分だった。絶対に文句を言うと思った冬美は、あゆみに付き添われて大人しく付いてきた。
by jazzamurai_sakyo
| 2009-06-17 22:00
| 第二話 「青い光」