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ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

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1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

第一話 「黒猫は踊る」 第5節の5

 「俺はわがままだぜ。相手が高校生でも、含めて諭すような物言いは出来ないし」
 「それは私も、みんなも同じこと」
 俺の目を見て、薫子はきっぱりとそう言った。切れ長の二重の目が、固い意志力を表す光で俺を刺した。左目の下の、小さなほくろが、印象的だった。
 「次のライブは何時だ?」
 「来月の連休中」
 「間に合うのか?」細かいことが気になって、俺は言った。
 薫子が、何か答えようとした瞬間、
 「ああー、カオルンとカミサン、こんな所でひそひそー。あゆみも寄る寄るうー」
 ・・・・あゆみは、かなり出来上がっているらしい。薫子の右腕にしがみついて駄々をこねる。あゆみより華奢な薫子は、困った顔をしてこっちを見た。
 「神ノ内さん、一緒にやるって」
 「え、本当。あゆみ、嬉しい。もう、シーケンサーと付き合うのって、飽きて来ちゃってえ。でも、こうなると思ってた。カミさん、これから宜しくねえ」そういって、あゆみは今度は俺の左腕にしがみつき、そして胸が押しつけられた。
 ・・・・でかいな。
 「・・・・薫子。この娘って、何時もこんなに挑発的にエロいのか?」そう言った直後、俺は腹に、あゆみの膝蹴りを見舞われていた。
 その瞬間、薫子は楽しそうに笑っていた・・・・。
 その後のことは、あまり良く覚えていない。駆け込んだトイレで俺は吐いた。少々怒って席に帰ると、「ごめんなさーい、ユルシテー。お詫びの印に、じゃあ、ワイン」と何時頼んだのか分からない赤ワインのフルボトルから、あゆみは俺のグラスたっぷりとそれを注いだ。口の中が気持ち悪かった俺は、その赤ワインを勢いよく飲み干し、あゆみに返して、「あんたも飲め 」と言って注ぎ返し・・・・、そんなことをやっていたら、フルボトルの空き瓶が四本、俺とあゆみの前に立っていた。
 ・・・・途中から薫子と輝広が、俺達の横で、俺達を煽っていた様な気がする・・・・。
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by jazzamurai_sakyo | 2008-04-02 02:20 | 第一話 「黒猫は踊る」