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ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

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1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

第二話 「青い光」 第1節

     一

 赤い光。
 遠く、星空の下で輝いている。
 湖を渡る、生暖かい風。
 僕はまた、その道を歩き、光に近づいていく。
 うち寄せる波の音は静か。
 君の寝息の様に。

 赤い炎。
 むせかえるガソリンの匂い。
 轟々と響くのは炎の音?
 ひしゃげたガードレール。
 メルセデス・ベンツ、E四〇〇。
 赤い車の中は、より赤い炎で満たされている。
 その暴力的な美しさ。
 君そのものだ。

 ドン、と小さな爆発音、飛び散る火花。
 渦巻き立ち上る黒煙。
 月明かりの中で、湖岸の炎は、高く立ち上がり、
 アスファルトを、そして、白いセンターラインを照らす。
 ブレーキ痕は、無い。

 赤い炎。
 何時見ても、きれいだ。
 黒煙は星の光を遮る。

 僕は何時までも炎を見ている。絶えることのない炎を。
 そして、僕は言う。
 “・・・・秋子、何処にいるの”
 そして、僕は、そっと右手を握られる。
 いつの間にか、薫子は側にいて、僕達は手をつなぎ、炎を見ている。
 薫子の瞳に、赤い光が映り込む。
 薫子は何も言わない。
 諦念が決して訪れないことを、よく知っているから・・・・。
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by jazzamurai_sakyo | 2008-10-01 00:37 | 第二話 「青い光」