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ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

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1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

第二話 「青い光」 第4節の2

 「ねえ、あゆみちゃん、ほっぺたにマヨネーズ付いてるよ」
 「・・・・カオルンこそ、顎にもほくろ、あったかしら」
 「ほくろ?」と薫子が言うが早いか、冬美が薫子の顎の青のりを右手の親指で拭い、その指を舐る。
 「ありがと」と薫子が言った。輝広とあゆみは黙っている。
 ・・・・食べている途中から、薫子はミーティングの中身を喋り出した。とは言っても、自分がこれからバンドでどうしたいか、という意思表示だった。
 その具体的な内容は、俺が入る前の曲はもう演りたくないということ、曲作りは全員の持ち寄りとしたいということ、ある程度、形が見えてきたら、固めることに拘らず、ライブを組んで行きたいということ。
 「それと・・・・、あまり、同じ曲を繰り返し演りたくない」
 「それには賛成だが、俺はCDを作りたい。曲に飽きる前に」と輝広は言った。
 「・・・・はっきりしたコンセプトがある訳じゃないけれど、私もCD作りたい。このメンバーで」と、あゆみが言った。
 「CDは出来るだけ早く作りたい。私も」
 薫子は躊躇無く言った。
 「でも、そのための曲を用意する様なことは考えていない。コンセプトを固めることも。今から演っていく音が、残すべき音だとみんなが思えた時に、作りたい」
 「まあ、前の音はおとなしすぎたしね。それに薫子の作るシーケンサーのフレーズも、段々作り込まれてきて、少し窮屈だったんだ。
 この前のライブの、あの混沌は結構気に入った。薫子は、あの混沌の美のまま、最初からスタートしたいんだろ」と、冬美は皮肉っぽく言った。
 「薫子は今、フリージャズっぽいのばっかり聴いてるしね」と輝広が言った。
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by jazzamurai_sakyo | 2008-11-12 07:17 | 第二話 「青い光」