ブログトップ

ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

jazzamuray.exblog.jp

1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

第二話 「青い光」 第4節の3

 「・・・・お父さん、ああいうレコードは数える程しか持って無かったから、あんまり分からないんだけどね。あの、楽器の種類に関わらず対等な感じが良いかなって。
 今までは私がコンセプトを決めて、そこに参加してもらってる感じがした。制約もあったと思う。私も、何処かまとめようとしていた気がする。そのことに限界を感じてたし、正直言うと、バンドになって無かった。
 神ノ内さんが入って、音の幹が出来たと思う。コンセプトを固めなくても、みんな我が儘に演っても、良い演奏は出来ると思う。形にならなくても、ライブ一時間のうちの十秒足らずでも良いから、今までに聴いたことの無いような音になれば良いと思うし、そういう音が自然に出てくる気がする。私は今、そういうのが聴きたいし、演りたい。だから、みんな自由に演って、その中からカテゴライズできない音楽が生まれてくるのを待ちたい。
 それと、みんなが自由に演ってくれた方が、私も我が儘になれる気もするし・・・・」
 「え、今までも十分我が儘だったぜ」と言った瞬間、輝広の鼻先に、あゆみの右手のグーが入れられた。
 「茶々入れないの」
 「一言、言わせてもらうけど」と冬美が言った。「今の薫子のコンセプトは、神ノ内のオッサンをこれからも音の幹に据えることを前提にしてるんだよね?
 それで良いとは思うけれど、でも、このオッサンには、もっとレッスンしてもらわないと、このコンセプトは巧く機能しないからね」
 「冬美ちゃん、他に上手な言い方ないの?」あゆみは少し窘めるように言った。
 「バスドラムのリズムと音量がバラツく時があるし、それと、フィルインする時、躊躇する一瞬がある。これは許せない。その他にも、色々あるけど・・・・」
 「俺には、分からなかったけどなあ」輝広が暢気に言った。「相変わらず耳良いな、お前。でも、もうちょっと言い方直せよ」
 「いや。冬美の言うことは当たっている。直しとくよ」と俺は言った。
[PR]
by jazzamurai_sakyo | 2008-11-19 23:40 | 第二話 「青い光」