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ジャズ侍のブログ小説 ~ 青い光      

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1990年代半ばの京都を舞台にしたバンド小説を書いてます。文中の場所、人は全く架空のものであり、実在の場所、人との関係は一切ありません。掲載は当面、毎月第一水曜日の予定。

第二話 「青い光」 第4節の4

 「それと、シンバルもちゃんとしたの用意して欲しい。
 ついでに言うと、瀧上さんのテナーサックスも、そろそろ虚仮威しのレベルから抜けて欲しい」と冬美は付け加えた。
 「ハイハイ」と輝広は生返事をした。何時も言われているのだろう。
 ・・・・俺は、素直すぎる様な薫子の独白も、冬美の指摘も、本当に嬉しかった。俺のことを踏まえて、バンドのコンセプトを白紙に戻してくれるなんて、とかく便利使いされやすいドラマーとしては、本当に嬉しいことだった。
 輝広とあゆみのCD録音の話も、俺の音を認めてくれるからこそ出たんだなと思った。
 でも、俺には、改めて確かめておきたいことがあった。
 「・・・・薫子、君に訊きたいことがある」
 「何でしょう」
 「君は俺のことを何処で知った」
 「何故、そんなことに興味があるの?」
 「いや、強い興味ではないんだ。ただ、俺が『南蛮』を演っていたのは二年も前だし、それに・・・・」
 言うなら、今しかない。
 「辞めたのは解雇されたからだと知っていて、俺を誘ったのか」
 薫子は、ホットプレートの向こう側から、初めてあった時のように、あの冷たい目で俺を注視した。
 だが、それは侮蔑的ではない。
 冬美は本当に興味の無さそうな白けた顔をした。
 「神ノ内さんを知っていたのは、たまたま、『南蛮』のライブを観たことがあっただけ。初期のね・・・・。それだけよ。それ以外のことは・・・・」
 「知ってたとしても意味がない」冬美と輝広は殆ど同時に言って、目を合わせてお互い苦々しい顔をした。
 「俺達は、この前のライブで、もう十分知り合った」と輝広は言い、「そうだね」と冬美は言った。
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by jazzamurai_sakyo | 2008-11-26 22:59 | 第二話 「青い光」