第二話 「青い光」 第8節の5
「学校って、同じ高校なのか」俺は訊いた。
「同級生で、同じクラスなんです」薫子はしれっと言った。
「なんなんだよ、オマエは。大体、おかしいと思ったんだ。何で聞いたことも無い名前のバンドが私らの前なのかって。何で此処に入り込んだ?」
「リズム隊が、少し前の馴染みでね。僕が頼んだの」と坂本さんがフォローする。
「最近までドラムがいなかったから、この箱には合わないと思って、控えていたのよ。本当は前から出たかった」
「『シャク王のテラス』なんて、変な名前付けやがって」
「・・・・YAE、違う違う、あれは“ライ”って読むんだよ」
男の子三人の内の、メガネをかけた奴がフォローする。
「え、癇癪のシャクだろ。私は漢字、得意だぞ」
「違う違う、“ライ”だよ」
「・・・・何だよ“ライ”って」
「病気の名前だよ。ハンセン氏病の別名で、・・・・古い、差別的言い方で、あまり良い言葉じゃないよ」
「そのハリセンってなんなんだよ。知らないぞ」
俺は笑った。「薫子、君、学校が楽しそうで、良かったな」
「・・・・誰だ、この性格の悪ソーなオッサンは?」
「うちのバンドのドラマーで、神ノ内さん」
「こんにちは。薫子が何時もお世話になってます」
俺は深々と頭を下げた。
「・・・・こんなオッサンと何演るのか知らないけど、しょうもない演奏しやがったら、乗っ取るからな。私らにとって、ココで最後のライブ演るには、時間が足りないんだよ」
うーん、いい目だ。ぎらぎらした初期衝動が押さえられないのだろう。パンクを演る奴は、こういう目をしていないと。
それに、ちょっと丸めだが、可愛い子じゃないか。
「どうぞ。でも、良い感じ演奏の時は邪魔しないでね。前のライブで、良い感じの所を何故か邪魔されてね。二度は嫌なの。次、そんなことされたら、私何するか分からないから」
「・・・・“underground garden”のラストだぜ。坂本さんの顔つぶすようなショボイ演奏したら、殺すからな」
「私も、曾根崎さんのバンドの演奏が下らなかったら、ミキサーの電源を落としますから。
ところで、坂本さんと神ノ内さん、何をニヤニヤしてるのでしょうか」
あ・・・・、ばれた?
「え、君達があんまり可愛いもんだから」と俺は言った。
「いやー、良いなあ。女子高生バンド対決か。楽しみだなあ」と言った坂本さんの口元も、激しく緩んでいた。
「・・・・このエロオヤジどもがっ」YAEは吐き捨てた。
薫子の、オヤジ達を見る目は、冷酷で凍て付いていた。
「同級生で、同じクラスなんです」薫子はしれっと言った。
「なんなんだよ、オマエは。大体、おかしいと思ったんだ。何で聞いたことも無い名前のバンドが私らの前なのかって。何で此処に入り込んだ?」
「リズム隊が、少し前の馴染みでね。僕が頼んだの」と坂本さんがフォローする。
「最近までドラムがいなかったから、この箱には合わないと思って、控えていたのよ。本当は前から出たかった」
「『シャク王のテラス』なんて、変な名前付けやがって」
「・・・・YAE、違う違う、あれは“ライ”って読むんだよ」
男の子三人の内の、メガネをかけた奴がフォローする。
「え、癇癪のシャクだろ。私は漢字、得意だぞ」
「違う違う、“ライ”だよ」
「・・・・何だよ“ライ”って」
「病気の名前だよ。ハンセン氏病の別名で、・・・・古い、差別的言い方で、あまり良い言葉じゃないよ」
「そのハリセンってなんなんだよ。知らないぞ」
俺は笑った。「薫子、君、学校が楽しそうで、良かったな」
「・・・・誰だ、この性格の悪ソーなオッサンは?」
「うちのバンドのドラマーで、神ノ内さん」
「こんにちは。薫子が何時もお世話になってます」
俺は深々と頭を下げた。
「・・・・こんなオッサンと何演るのか知らないけど、しょうもない演奏しやがったら、乗っ取るからな。私らにとって、ココで最後のライブ演るには、時間が足りないんだよ」
うーん、いい目だ。ぎらぎらした初期衝動が押さえられないのだろう。パンクを演る奴は、こういう目をしていないと。
それに、ちょっと丸めだが、可愛い子じゃないか。
「どうぞ。でも、良い感じ演奏の時は邪魔しないでね。前のライブで、良い感じの所を何故か邪魔されてね。二度は嫌なの。次、そんなことされたら、私何するか分からないから」
「・・・・“underground garden”のラストだぜ。坂本さんの顔つぶすようなショボイ演奏したら、殺すからな」
「私も、曾根崎さんのバンドの演奏が下らなかったら、ミキサーの電源を落としますから。
ところで、坂本さんと神ノ内さん、何をニヤニヤしてるのでしょうか」
あ・・・・、ばれた?
「え、君達があんまり可愛いもんだから」と俺は言った。
「いやー、良いなあ。女子高生バンド対決か。楽しみだなあ」と言った坂本さんの口元も、激しく緩んでいた。
「・・・・このエロオヤジどもがっ」YAEは吐き捨てた。
薫子の、オヤジ達を見る目は、冷酷で凍て付いていた。
by jazzamurai_sakyo
| 2009-02-25 00:32
| 第二話 「青い光」